DXについて総務省は方向性を、経済産業省はプロセスを述べている

前にもDXについて書いたのですが、あらためて。

DXは具体的な技術とかではなくて、概念というか社会の目指すべき方向性みたいな話なので、なかなか理解が難しいですよね。

もともとの定義はスウェーデンのEric Stolterman教授の論文にあるもので、Wikipediaにある説明を引くと「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させる」という概念と書いてあります。総務省によるDXの定義は「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させる」となっていてITとICTの違いがありますが、もともとの定義をそのまま引いています。(総務省は情報「通信」技術を所管しているので、通信のC(Communication)が入っているわけですね。

一方、経産省の定義はこんな感じです。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

なかなか難しくなります。ただ、これは経産省がDX実現シナリオを提唱しているように、DXによる社会全体の方向性を説明しているのではなく、その方向性が社会の環境変化として生じるときに、企業はどのように対応するべきかという視点になっています。

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「企業がビジネス環境の激しい変化に対応」というところから文章が始まっているのが、その最たるところで、そのためには、「製品やサービス、ビジネスモデル」さら「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革」まで必要になりますよと。つまり、ちょっとしたITシステムの開発とかじゃないよ、その企業文化を変えるくらいの覚悟が必要だよと言っているわけです。

ぱっと見、同じDXについても総務省が言っていることと経産省が言っていることが違って、一方で内閣府はSociety 5.0とか言っているし、経産省もちょっと前までは第4次産業革命とか、Connected Industriesとか言っていたので、結局のところ何がどうなのか、見えづらく感じます。

結局のところ、総務省や内閣府は社会全体の方向性を述べていて、経産省はそこに至るプロセスを特に企業経営の観点で言っているのだと思えば、それぞれが言っていることは理解しやすいのではないかと思います。

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この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。