ITCカンファレンス 2025に登壇しました

11月21日・22日の2日間、秋葉原UDXで開催された ITコーディネータのお祭り「ITCカンファレンス2025」に参加しました。

今回は2日目の午後に、パネルディスカッションのモデレータとして登壇しました。カンファレンスへの登壇は2019年以来2回目ですが、今回はひとりで話す講演ではなくモデレータ役。少し種類の違う緊張感がありましたが、約80分間、3人のパネラーのみなさんと楽しく議論できたのではないかと思います。

パネラーのみなさんには事前に資料を準備していただき、基本的にはその流れに沿って進行しました。ただ、途中でいくつか質問を投げかけながら、できるだけ多くの「学び」を引き出せるよう意識しました。現地会場とオンラインを合わせて、約800人の方にご覧いただいたとのことですが、ご覧になった方はいかがだったでしょうか。

事前に用意した質問は3つです。

  1. ITCとして、中小企業のAI活用をどう支援すればよいか
  2. ITC自身は、AIをどう活用していくべきか
  3. 今後のAIの展望をどう見るか

全体としては、「中小企業向けAI活用ガイド」がテーマとなるセッションでした。

IT導入とAI導入で支援の仕方に違いはあるか?

中小企業のAI導入で重要なポイントとして、パネラーのみなさんからは次のような提言がありました。

  • まずITC自身が、しっかりAIを活用していること
  • 経営者がコミットすること
  • 情熱のある人を見つけ、推進チームをつくること

これらは「AI活用ガイド」にも書かれている内容ですが、ふと「それって今までのIT導入と同じでは?」という疑問が浮かびました。そこで、あえてそのまま質問してみました。自分自身の中でも整理しきれていなかったテーマだったからです。

パネラーから返ってきた答えは、主に次の2点でした。

  • AIは技術進歩のスピードが非常に速いこと
  • 対話型で使える生成AIが登場したことで、従来のITよりもぐっと身近な存在になったこと

たしかに「速い」からこそ、ITCは継続的にキャッチアップし続ける必要がありますし、「身近になった」からこそ、これまで以上に一段高いレベルの提案が求められていると感じます。

一方で、それ以外の部分については、これまで培ってきたIT導入のノウハウをそのまま活かせるとも言えます。つまり、ITCは既存のスキルに「+AI」の視点とスキルを重ねていけば、十分にAI時代にも対応していけるのだろう、というのが今回の議論から得た実感です。

このセッションを通じてあらためて感じたのは、「AIだからといって特別なことを始める」のではなく、「これまでIT導入で培ってきた知見に、AIという新しい道具をどう重ねるか」を丁寧に考えることが大事だ、ということでした。

中小企業にとってもITCにとっても、AIはゴールではなく手段です。
経営の方向性や現場の課題をしっかり押さえたうえで、

  • どこから小さく始めるか
  • どう検証し、学びをフィードバックするか
  • 誰が旗を振り、どうチームで支えるか

といった「これまでと変わらない本質的な進め方」を外さないことが、結局は成功への近道なのだと思います。

今回のパネルディスカッションが、「AIだから難しそう」と感じている中小企業やITCのみなさんにとって、少しでも背中を押すきっかけになっていれば嬉しいです。
このテーマについては、今後も自分自身の実践を重ねながら、継続して発信していきたいと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社VIVINKO 代表取締役/VIVINKOコンサルティング 代表
経済産業省推進資格ITコーディネータ/ITエンジニア

ITコーディネータとして、2016年からAIを業務に組み込む活動を続けている。2018年に株式会社VIVINKOを地元・北九州市で創業し、2020年に東京からUターン。生成AIを利活用するためのクラウドサービス「Gen2Go」を開発し、北九州発!新商品創出事業の認定を受ける。北九州市ロボット・DX推進センターでDXコーディネータとして中小企業支援に携わるほか、一般社団法人IT経営コンサルティング九州(ITC九州)の理事も務める。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。