SWOTでビジネス環境分析

お客様企業(事業部)での新規ビジネスプラン開発のファシリテーションを行っています。
前回のブレインストーミングと親和図でビジョン作りに引き続き、SWOTを使ってビジネス環境分析のワークショップを開催しました。

そこで何をやったかということと、気づいたことなどをまとめておきます。

ビジネス環境分析の必要性

今回のワークショップの冒頭で、企業経営において環境分析を行うことの必要性について話しました。
企業経営とは、手持ちの資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を、世の中の環境変化に合わせて投入したり、変化させたりすることに尽きます。
なので、まず外部環境の変化を捉え、自社ビジネスにとっての「機会」と「脅威」に整理します。
そして、内部(自社)の資源を把握し、「強み」と「弱み」に整理します。
外部・内部の状況を把握して、はじめてビジネスプランの作成に取りかかることが出来ます。

論理的に考えるためのフレームワーク

こうした分析を行うために、定評のあるフレームワークを使うことが出来ます。
論理的な分析を行えば、誰もが納得しうる分析結果が得られる可能性が高まります。
論理的であるためには、分析の目的に合った分類基準を用い、分類した項目の次元が揃っていて、かつMECE(モレなくダブりなく)になっている必要があります。(その辺のことは、こちらの記事を参照ください。)
フレームワークを使えば、論理的であるために必要な要件を簡単に満たすことができます。
つまり、フレームワークを使うことで、論理的な分析が行えるのです。

SWOT分析とは

SWOT分析とは、ビジネス環境を外部環境と内部環境に分け、それぞれ「機会」と「脅威」、「強み」と「弱み」に整理するフレームワークです。
この記事のここまでの説明は、SWOT分析の考え方に基づいたものです。

前回のワークショップで行ったブレインストーミングでは、批判を禁止して思考のポジティブループを回すことが重要です。
しかし、SWOT分析はそうではありません。あからさまな批判は慎むべきですが、例えば「円安」という外部環境の変化が自社にとって「機会」なのか「脅威」なのかは議論のしどころです。
ここできちんと議論して、考え方の違いに気づいたり、お互いの認識を合わせていく必要があります。

ワークショップとしては、あらかじめ下記のフレームワーク(PEST、5Force、ビジネスエクセレンスモデル)の説明を行って、各自で考えて来てもらった方が良いでしょう。特に外部環境については日々の情報収集が鍵です。ワークショップの場でいきなり環境分析をお願いしても、メンバーの頭の中に材料がなければ分析しようがないのです。

ワークショップでは、各自で考えてきたことをぶつけ合わせ、ある要素が「機会」なのか「脅威」なのか。あるいは「強み」なのか「弱み」なのかの議論をする場にした方が有意義です。

外部環境分析

外部環境は、さらにマクロとミクロに分類されます。
マクロの外部環境とは世の中一般の環境変化であり、ミクロの外部環境とは自社の周囲(仕入先やお客様など)で起きている環境変化を指します。

マクロはPEST分析

PEST分析とは、マクロの外部環境を、政治・経済・社会・技術に分類するフレームワークです。
ワークショップの参加メンバーがITエンジニアだったりすると、技術に関する環境変化はどんどん見つけても、政治・経済・社会に関する環境変化がきちんと捉えられていないようなケースも多々あります。PESTを使えば、そうした抜け漏れを防ぐことが出来るのです。

ミクロは5Force分析

5Force分析は、ミクロの外部環境を、競合他社・売り手・買い手・新規参入・代替品の5つの脅威で分析するフレームワークです。
日々の業務では競合他社との競争関係には目が行っても、新規参入や代替品の脅威への検討は疎かになることもあるのではないでしょうか。
PESTと同じく、5Forceも抜け漏れを防ぐために活用すると良いでしょう。

内部環境分析

内部環境分析は自社の内部に関する分析です。

自社の良いところは気づきにくいのか「強み」が出てこないことが多いように思います。ファシリテータが具体例を出すなどして、何が強みにあたるのかを考え出しやすくする工夫も必要となります。

いつも仕事をしている環境なので、「弱み」については言い辛いと考えるメンバーもいるかもしれません。ワークショップの場だけでも、何でも言いやすい環境となるよう、リーダー格の方の協力を仰ぐと良いでしょう。

ビジネスエクセレンスモデル

ビジネスエクセレンスモデルは、ITコーディネータ協会が策定したフレームワークです。
内部環境分析に使えるのですが、強みと弱みのどちらにウエイトをかけた分析を行うかによって、全く異なる分析結果となることもあります。その辺の詳細は、こちらの記事に詳しく書きました。

クロスSWOT分析につなげる

SWOT分析はそれだけではあまり意味がありません。
分析結果をクロス分析することで、新しいビジネスプランを考えたりすることにこそ、意味があります。

ビジネスプランとして最も成功率が高いと思われるのは、「機会」に「強み」をぶつけるようなプランです。SWOT分析で見つかった「機会」に対して自社のどんな「強み」を使えば、成功するビジネスを作ることが出来るのかを考えます。

「機会」と「弱み」の組合せは、企業努力によって「弱み」を「強み」に変えることが出来れば、その「機会」を活かしたビジネスプランが出来るかもしれません。つまり、自社の補強ポイントを見つけ出す分析となります。

「脅威」と「強み」の組合せは、世間一般では「脅威」とされることでも自社に強力な「強み」があれば乗り切れるかもしれない。そういう意味では、「脅威」に見えつつも実は「機会」に変えることが出来るようなプランが見つかります。
逆に、「脅威」があまりに手強いものである場合、自社の「強み」がスポイルされかねないので、注意が必要です。

「脅威」と「弱み」の組合せは、どうしようもない組合せなので、無視出来るレベルの損害しか起こさないようなら無視してしまうという消極的な対策が考えられます。無視出来ない損害が起きる場合は「弱み」とは言えない程度にまでは補強して、損害を抑えるといった対策を考えます。

ワークショップでは、クロスSWOT分析を始める前の段階で時間切れとなってしまったので、「機会」と「強み」の説明だけをしてビジネスプランを考えてきてもらうよう宿題にしました。

「(機会)」に対して「(強み)」を活用することによって「(ビジネスプラン)」が考えられる。

この括弧の中を埋めた文章(ビジネスプラン)を、最低3つ考えて来て、次回のワークショップで発表してもらうようにしたのです。

既に第3回のワークショップも開催済みなので、追ってその記事も書きたいと思います。

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この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。